コミュニケーションにロックをかけないで(馬 英華氏の経営者ブログ)

(馬 英華氏の経営者ブログ 2016年4月22日版)

東京エレベーター馬英華の写真我が社は昨年秋、ある新人の採用を決めました。有名な大学の大学院生で、電気工学が専門です。今は企業にとって求人難。技術者は引っ張りだこです。彼は来る日も来る日も数社に足を運び、面接を受けたと言います。実際、別の会社から内定をもらっていたそうです。何が決め手になってうちの会社に来たいと思ったのか彼に聞きました。答えはこうでした。「自分の意見を取り上げてくれそうだから」

他の会社は最初の面接官、次は部長、次は役員……と、面接の段階を複数踏むので、時間がかかる。そのうえこうした人から話を聞いても「会社の全貌が分からなかった」。自信があり、自分の可能性を信じているという彼は、私が面接することによって会社のことがよく分かり、ビジョンが描けたそうです。

技術者のこの新人社員とは月に2回くらい面談して、コミュニケーションを取っています。内容はいろいろで、主に短長期の目標、業務改善の提案などです。面談をおおまかに再現しましょう。

「最近、自信ついた? 一回り大きくなったみたいですよ。入社してどう感じていますか。何か不満はありますか。改善したいことありますか? なるほど、それでは来月は何に力を入れたいですか?」

(作業に必要なマニュアルを読み進めたいとの発言を受けて)「そう、それはとてもいいことですね! 3冊くらい読んだら、私に感想を聞かせてください。社長室にあるマニュアルや本は好きなように読んでいいんですよ」

「努力すれば、必ず自分に返ってきます。(エレベーターのある)現場で難しい故障が自分で直せたら、達成感すごいから。それをぜひ早く味わってくださいね」

早く独り立ちして現場に行きたい。面談でそういう意向が分かれば励まし、支援します。やがて技術を覚え一人で現場に行って、故障に対処できるようになれば、私はさらに的確な指示が下せます。目標に向けて自分で行動を起こしたら、工程を時折チェックする、それも管理者の役目です。彼らの成長が分かれば、場数を踏むよう配慮できます。

本人でもよく分からずぼんやりと考えていることが、面談で明確になってきます。目標が明確になれば、それに向けてまい進できます。言い換えれば、早く力を発揮できるんです。このことからも、話すことはとても重要だと思います。

人間と人間で通じていれば、いつも相談できる。アイデアもわいて、いい仕事ができる。周りと力を合わせられる。仕事で難しい場面にぶち当たって、お互い違う意見でも、妥協点を見いだせる。つくづく、日ごろのコミュニケーションと、それが醸成する信頼が大事だと認識を新たにしています。

■「あなたは会社にとって大事な人です」

中国人の私は、感じたことをストレートに聞きます。「最近、元気ないね。調子悪い? 昨日遅かったって? じゃ残業しないで今日は帰って寝なさいよ」。あなたは会社にとって大事な人ですと、繰り返し、メッセージを送ります。

私の経験だと、日本人はコミュニケーションにロックをかけてしまう。言いたいことを言わない。それが美徳として受け入れられているのは、日本の文化でしょう。言わなければ相手を傷つけないし、相手がどう思っているのか「あうん」の空気で想像しています。

私から見ると、お互い確かめもしないのは不思議です。同じことを話しているつもりでも、実は違うふうに考えていることもあるはずです。相手の反応を見るだけで「私のこと嫌いみたいだ」などと思い込んでしまう。「あなたは私を嫌いなんじゃない?」と聞けば済みます。「ごめんねこんなこと言って。こういう話題が嫌なら今後言わないようにする。もし私のこういう面が嫌いなら、直すように気をつける」と提案すれば、相手との関係を良くできます。

イエス、ノーをはっきりする。声を掛け合う。子供や親、恋愛相手、パートナーとは、自然にできていませんか。会社も同じ。コミュニケーションがしっかりしていれば、みんなで力を合わせてよりいい方向にいかれます。

我が社では月に1回、社員が企画して、会社持ちの親睦イベントを開きます。技術者はお肉を食べたがるので、焼き肉やしゃぶしゃぶへ行くことが多いです。中華料理なら私がお店を探すこともあります。その時々で居酒屋だったりカラオケだったり。ボウリングもすれば花見もします。

そんなとき、社員は私を敬遠するんじゃなくて、社長の隣に座りたいとそばに来てくれます。コミュニケーションを普段取っているから、人間関係ができていると感じます。地味にエレベーターとか鉄の部品とかを見ているうちの社員に、馬英華と働いていて楽しいなと思ってくれれば、私も心からうれしい。

私は女性経営者として日本で長年奮闘してきました。独占状態だったエレベーター業界の商慣習を打破し、固定概念に縛られていた場所に新しい文化を植え付けて、競争に基づいた現在の姿に改革してきました。

中国で生まれ育ち、日本の大学へ進学し、中国で弁護士の資格を取って働いてきたことがすべて今の私をつくっています。その過程で、言葉や文化、生活や商習慣の違い、そういう障壁を一つひとつ乗り越える努力を続けてきたつもりです。日中の懸け橋になり、人々の相互理解を深める手助けをするという使命を今以上に強く感じたことはありません。

熊本の地震や長引く経済の低調で、意気消沈している人たちがいます。また、中国の台頭に脅威を覚えている人たちもいるでしょう。私がどういう道のりを歩んできたのかお話することで、大好きな日本の人々のお役に立てると思い、次回から少し方向を変えて、私個人の経験を書いていこうと思います。

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