エレベーター事故から私たちが学べること(馬 英華の日経新聞電子版ビジネスリーダー記事)

(馬 英華氏の経営者ブログ 2015年11月20日版)

東京エレベーター馬英華写真9月下旬、エレベーター製造大手、シンドラーエレベータのエレベーターにはさまれ高校生が2006年に死亡した事故の判決が言い渡されました。このエレベーターの保守点検を請け負っていた会社の関係者が有罪になり、点検責任者だったシンドラー社員は無罪になったのです(注:東京地検はこの判決を不服として10月9日、東京高裁に控訴した)。

東京都港区で起きたこのエレベーター死亡事故をめぐるケース。これについて意見をいう立場にありません。ただ、こうした事故から引き出せる一般的な教訓があるのではないかと思います。

エレベーターが故障するリスクはなんだと思われますか。もちろん人身事故につながる故障は起きてはならないことですが、実は「いざ止まったら」の対応です。数時間でも止まれば、そのビルで仕事や生活をしている人に多大な迷惑がかかります。高層であれば、いざエレベーターが止まったときの対応も大きくなります。

情報はカルテ

公共団体が持つ不動産などに対し、エレベーター保守の事業者などは一般競争入札によって決められます。ところがいざ入札しようというときに、今後自分たちが保守を担当する可能性のあるエレベーターがどういう状態なのか、分からないことがあります。

事業者にとっては、そのときに開示される情報だけしか手掛かりはありません。情報開示に決まったフォーマットはなく、私たちが必要な包括的な内容――エレベーターの製造年、収容人数など基本情報のほか、「病歴」ともいえる故障情報――が、常に提供されるわけではないのです。自治体によって担当者が教えてくれることもありますし、そうでないこともあります。前任者から人が代わってしまい、提供しようにも分からなくなってしまうこともおうおうにしてあります。

情報は、人間でいえば「カルテ」です。私はこれがとても重要だと考えています。人は調子が悪くなったときに病院へ行きます。その人の既往症が書かれたカルテを見てお医者さんが診断します。このカルテにより、お医者さんは、間違った薬を処方したり、その人に合わない治療をしたりするようなことが避けられますよね。同じことがエレベーターでもいえると思います。

強調したいのは、情報の公開の大事さです。「カルテ」の開示の度合いが上がれば、過去の故障情報をきちんと把握できます。エレベーターの「病歴」を正しく理解することで、同じ故障が起こる可能性を想定できます。異常が疑われる部品などを取り換えたりして、はやめに手を打つことができるでしょう。

ビル所有者、メーカーと保守会社が情報の公開を通して、それぞれ注意したり協力したりして、故障や事故を減らすことはできるのです。

取引をする以上、情報の開示に対する熱意は持ちたいものです。書かれていない何かを推測する経験や能力は必要かもしれません。私は、疑問があれば問い合わせをして、最大限、情報を取ることに努めています。最終的に納得できなければ、仕事は受けてはならないのです。これは業界にかかわらず、すべてのビジネスパーソンが気をつけるべきことではないでしょうか。

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